すずりの闘病日記

鬱病メンヘラが元気になるまで

国際航行船舶からの二酸化炭素素排出ゼロ(「ゼロ・エミッション」)に向けた新しい船舶の推進方法について

 2018年4月、国際海事機関(IMO)は、地球温暖化対策をさらに推進するために、今世紀中に国際航行船舶からの二酸化炭素排出をゼロにするという決議を行った。ただし、この決議では具体的な方策は示されていない。
 

 そこで、国土交通省で紹介されている、二酸化炭素排出ゼロ(「ゼロ・エミッション」)に向けたロードマップなどを参考にして、ゼロ・エミッションを達成する船舶の推進法として最も実現性が高いと思うものと、その実現のために解決すべき技術的課題について考察する。 
 

 私は、ゼロ・エミッションを達成する船の推進方法として最も実現可能なものはアンモニア燃料船であると考えている。低速LNG船や排出CO2回収船と異なり、アンモニア燃料船は燃料から温室効果ガスを排出しないため、ゼロ・エミッション船として最適である。加えて、アンモニアは、同じく脱炭素燃料である水素よりもエネルギーが少なくて済み、燃料タンクも小さくて済み、沸点も高く、取り扱いも容易なため、脱炭素燃料の中では最も実現性が高いと考えられている。
 

 アンモニアを燃料として使用する際の最初の課題は、その毒性である。そのため、貯蔵タンク、配管、エンジンの設計を考慮しなければならず、エンジンルームは、流出した場合に人が立ち入れないように設計しなければならない。
 

 次に、温室効果ガスであるN2Oの処理である。二酸化炭素が排出されなくても、温室効果の高いN2Oが発生してしまっては意味がない。したがって、N2Oの排出を制御し、処理する技術が必要である。
 

 最後に、アンモニア自体も社会インフラの一部でなければならない。アンモニアを船舶の燃料として使用するためには、供給システムと海上輸送システム、さらにアンモニアを船舶に投入するための港湾施設を構築する必要があり、既に存在するLNGなどの炭素燃料の供給網を代替するまでに発達させる必要がある。